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駅のツバメと駅員さん
-変わらぬ季節の記憶-

2025/06/10
発信者 : KOSSHI

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毎年6月になると、会社近く駅改札の片隅でツバメのさえずりが響き始める。ガタンゴトンと行き交う電車の音に紛れながらも、その小さな鳴き声は懐かしさを運んでくる。

改札のそば、駅の天井の隙間に去年と変わらぬ場所で巣作りを始めたツバメたち。その光景を見つめる駅員さんの目は優しく、まるで再会した友に向けるようなまなざしだ。

「今年も来たね」

独り言のように呟く姿は駅の日常に溶け込んでいる。

***

いつの頃からか、この駅にはツバメがやってくるのが当たり前になった。

朝の慌ただしさの中でも、ふと目を向ければ親鳥が雛に餌を運ぶ姿がある。

通勤客の誰かが立ち止まり巣の下を見上げる。急ぎながらも振り返りながら見る人、カメラを向ける人、まるで気にも留めずに通り過ぎる人。ツバメの存在は、都会の片隅で繰り返される変わらぬ季節の記憶になっていた。

親鳥が卵を温めだすと、駅員さんがツバメの巣の下に落下防止の受け皿を取り付ける。

改札階段下でツバメの巣の下にそっと手を伸ばし、駅員さんが慎重に受け皿を取り付けていく。階段上りはじめの足場の悪いところに脚立を立て数人での作業。

大変そうだとみていたが、その手つきは慣れたもので、「今年もこの作業をする時期か」と心の中で思いながら、ひとつひとつ確かめるように固定している。受け皿が設置されることで、巣から落ちるヒナを優しく受け止めることができる。

通勤客の流れの合間に、この作業を気に留める人もいる。少し離れたところから「ツバメのためなんだね」と微笑みながら見守る親子、毎朝ここを通る会社員も「去年もやってたね」と。

直接助けているわけではないけれど、駅を使う人々はこの風景を見守り続ける。

ツバメたちはそんなことを知ってか知らずか、今年も同じ場所に帰ってきて、せっせと雛たちに餌を運ぶ。

ツバメの巣をめぐるこの駅の風景はただの偶然ではない。そこには人々のやさしさ、そしてそれを大切に見守る人々の思いが詰まっている。

来年も再来年も、ずーっとこのやさしさが続きますように…と。