船便輸送の闇
2021/04/28
発信者 : ISHIZUKA
船便運賃以外の費用について
船便は、海上コンテナ1本を貸切(FCL: Full Container Load)しない場合は、混載コンテナ便(LCL: Less Than Container Load)での輸送になります。
これは、船便輸送会社が他の荷主の貨物とまとめて、海上コンテナ1本分に積み込んで混載輸送してくれます。
船便運賃は、基本的には貨物の体積(立法メートル)を運賃計算の基準として用います。但し、同じ1立方メートルの貨物でも、綿1立方メートルと 鉄1立法メ-トルでは、重量が大幅に異なります。この場合は、鉄1000kgを立方メートルとみなして運賃計算します。
ちなみに船便運賃には、最少体積単位(通常は1立方メートル)の設定がありますので、小さな貨物でも1立方メートル分の運賃が請求されます。
混載コンテナ船便の基本運賃は、実はあまり高くありません。ヨーロッパから日本までの運賃でも1立方メートル当り3,000円程度です。
但し、これに割増料金が同じく3,000円程度加算されます。合計すると1立方メートル当り6,000円位がおよその目安になります。
ためしに、以下のイタリア製ソファーの船便費用を計算してみましょう。
製品サイズが『260 x 83 x 95cm』として、木箱に梱包すれば『270 x 93 x 115cm』位になるかと思います。体積は2.9立方メートルですので、日本までの船便運賃は17,400円になります。
これにイタリアでの輸出申告費用が別途40,000円位かかると想定します。ここまでで、合計57,400円位の費用計算になります。
さて、ここからが本題です。
日本の港にソファーが到着すると船便の運送会社から以下のような請求書(貨物到着案内)が届きます。これは、上記の海上運賃ではなく、日本の港で貨物を船から下して荷主に引き渡すために別に必要な費用+代理店手数料です。
項目や料金は以下の通り各社バラバラですが、計算ではこのソファーの場合、60,000円位はかかりそうです。
つまりイタリアから日本の港までこのソファーを船便で輸送するには少なくとも以下の費用が必要になります。
- イタリア側輸出諸費用 40,000円
- 船便運賃 17,400円
- 日本側運送会社諸費用 60,000円
合計 117,400円
尚、自分で港の税関に行き輸入申告をしてから貨物を受け取る場合は、基本的に上記の費用だけで荷物を受け取れますが、輸入申告、配送を業者に代行依頼する場合は、別途費用が必要になります。
これについては次回説明させていただく予定です。